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イーベイジャパン2025年第3四半期越境ECレポート公開

イーベイジャパン2025年第3四半期越境ECレポート公開

ポイントまとめ

米国関税免除「デミニミス・ルール」撤廃で大きな転換期を迎える中、関税込み配送(DDP)の必須化への準備が進められています。また、非米国への販売意欲がさらに高まっており、販路の多極化と収益安定化に向けた動きが本格化しています。特に、トレーディングカードをはじめとした日本のカルチャーやPre-loved(プリラブド)商材に触れる若年層が増加していることが注目されます。また、SNSでの映像制作ブームを背景に、カメラドローンが新たに躍進しています。

世界最大規模のオンライン・マーケットプレイス「eBay(イーベイ)」への出店を通じ、16年以上にわたり日本セラーの越境EC(海外販売)を支援しているイーベイ・ジャパン株式会社(所在地:東京都渋谷区、代表取締役社長:岡田 雅之)は、2025年(7-9月)の期間において日本セラーから出品されたアイテムの販売動向を発表しました。

2025年第3四半期(7-9月)販売動向の総評と今後の販売予測

今年9月で設立30周年を迎えたeBayでは、第3四半期において日本のセラーと海外の若年層バイヤーとのつながりが一段と広がりました。TikTokでの「#japaneseebay」が急上昇し、Z世代が日本の中古バッグを購入・紹介する動画が拡散される中で、真贋鑑定による安心感や日本らしい品質の高さが支持されています。トレーディングカード市場においてはポケモンやワンピースなどが人気を牽引しており、日本のカルチャーやPre-loved商材に触れる若年層が増え続けています。

一方、米国では800ドル以下の輸入品を免税としてきた「デミニミス・ルール」が撤廃され、全輸入品に関税が適用される新制度が開始されました。これにより、購入時に「後から関税を請求されるかも」という不安や、通関・受け取り時のトラブルが発生し、購入をためらうケースや取引途中でのキャンセルといった課題が浮上しています。

イーベイ・ジャパンは、米国向け取引での「DDP(関税込み配送)」の必須化を進め、10月の施行に向けたサポート体制を強化しています。このDDPの導入は価格調整や物流オペレーションの見直しなどの負担をセラーに課しますが、購入時点での支払い総額が明確になることでバイヤーの安心感や再購入意欲を高めることで、双方にとってメリットのある新たな配送のスタンダードとなるでしょう。

また、米国制度変更を機に、欧州やオーストラリア、アジアなど非米国地域への販売も拡大しています。多くの日本セラーが販路の多極化を進め、安定的な成長に向けた転換期を迎えています。

(ジャパンアカウントマネジメント部 部長 北村 直樹)

2025年第3四半期(7-9月)カテゴリーランキング

トレーディングカード市場はポケモンカードを中心に引き続き活況を呈しており、新商品の継続的な投入によって高水準の需要が維持されています。成長率TOP3には、カメラレンズ&フィルターが越境ECレポートを開始してから初めてランクインしました。また、カメラドローンをはじめとした新興ガジェットも注目され始め、従来の主力カテゴリーに加えて新たな市場の柱となるポテンシャルが見え始めています。さらには、レコードやCDといった関税の影響が限定的なメディア商品も引き続き安定的な成長を見せています。

売れ筋の商品

①トレーディングカード

――ポケモンカードを筆頭に、勢いがさらに高まる

第1四半期と第2四半期に続き、第3四半期も前年同期比約2.35倍と勢いがさらに高まっています。米国、英国、ドイツ、オーストラリアなどのeBay主要マーケット全体で人気が加速し、特に来年30周年を迎えるポケモンカードがカテゴリーを牽引しています。

シングルカード、ボックス、鑑定カードのいずれも好調で、ボックスでは9月に発売された「インフェルノX」が好調であり、前年同期比約2.54倍と大きく伸長しています。鑑定カードも前年同期比約1.99倍と好調です。さらに、ONE PIECEカードが2番目に大きな売上を記録し、新弾リリースごとに需要が高まり、英語圏でもアニメ人気の後押しで販売が拡大しています。

②デジタルカメラ/カメラレンズ&フィルター

――映像クリエイターやブログ制作者の増加が追い風に

円安の影響とデミニミス・ルール撤廃を前にした駆け込み需要が重なり、日本から海外へのカメラレンズ輸出が急増しています。Sony、Canon、Nikon、FUJIFILM、Panasonicなどの主要メーカーの人気モデルは、リファービッシュ(整備済み)品として出品することができる「eBay Refurbished(保証付き整備品)プログラム」の販売拡大によってさらに後押しされています。また、映像クリエイターやブログ制作者の増加も追い風となり、Sonyの高級コンパクトカメラ「Cyber-shot RXシリーズ」や、FUJIFILMのミラーレス「Xシリーズ」、Canonの望遠レンズ「Lシリーズ」などが継続的に好調を維持しています。

※2 eBay Refurbished(保証付き整備品)プログラムの詳細はこちら:https://www.ebay.co.jp/releasen/20250401/

③カメラドローン

――SNSでの映像制作ブームでカメラドローンが新たな主力カテゴリーに

前年同期比約62.16倍と急成長を遂げ、円安の影響とデミニミス・ルール撤廃を前にした駆け込み需要がいずれも重なっています。「DJI Mini 5 Pro」や「DJI Mavic 4 Pro」などのハイエンドドローンは、海外バイヤーにとって日本から正規品をお得に入手できる人気商品となっています。

SNSでの映像制作ブームを背景に、初心者でも高品質な空撮が可能なDJI製品への関心が若年層やクリエイター層で急拡大しています。日本の正規流通モデルは信頼性やサポート面でも高く評価されており、「未開封・正規コンボセット」は海外でプレミア感を持って受け入れられています。今後もドローン需要は世界的に高い水準で推移する見込みです。

④レコード&CD

――関税の影響が限定的なメディア商品が好調

前年同期比約1.35倍と、レコード&CDカテゴリーは大きく伸長しました。特に、マイルス・デイヴィス、ビートルズ、ボン・ジョヴィ、クイーンなどのヴィンテージなJazzやRockのアーティストが人気を集めています。さらに、米国ではジブリのサウンドトラックが注目されている中、多くのカテゴリーではデミニミス・ルール撤廃の影響が見られるものの、関税の影響を受けにくい商材であることや、ヴィンテージ音楽の人気上昇、レアアイテムを求める世界中のコレクターの熱い支持といったグローバルなトレンドが背景にあり、今後も安定した成長が見込まれます。

⑤レディース アパレル&バッグ ブランド小物

――日本の時計ブランドが上位にランクイン

ファッションカテゴリーでは、デミニミス・ルール撤廃を前にした駆け込み需要が見受けられました。アパレルやスニーカーへの駆け込みが顕著で、無料で真贋鑑定を行い、認証された商品のみをバイヤーに届ける「真贋保証サービス」の認知度が徐々に浸透しています。高額商品では前年同期比約1.5倍の出品数の増加が見られました。人気ブランドにはLouis Vuitton、GUCCI、CHANEL、Hermès、SEIKOなどが名を連ね、売上ブランドTOP10にCASIOも入るなど、日本の時計ブランドがランキング上位に浮上しています。また、今年8月には日本セラーの中で過去最高額の9万ドル(約1,380万円)で腕時計が売れました。

※3 真贋保証サービスの詳細はこちら:https://www.ebay.co.jp/release/20250515/

イーベイ・ジャパンの展望と今後の取り組み

イーベイ・ジャパンは、越境ECを取り巻く制度環境が急速に変化する中にあっても、すべてのセラーが持続的かつ安定的にビジネスを展開できるよう、公式ツールの強化、制度対応に関する実務的支援、そして市場動向に基づいたインサイトの提供を通じて、引き続き全力で支援を行ってまいります。現在求められているのは、「どの市場に、どの商品を、どのような価格と配送形態で届けるか」という三軸の設計をより高度かつ柔軟に行う力です。私たちは、こうした複雑な意思決定を支えるパートナーとして、日本のセラーの皆さまと共に、世界中のバイヤーに選ばれ続けるビジネスを築いてまいります。

eBay Inc.およびイーベイ・ジャパンについて

eBay Inc.(米国NASDAQ上場、ティッカーシンボル:EBAY)は、世界の人々をつなぎ、コミュニティを創出し、すべての人の生活を豊かにするeコマースのリーダーです。当社の革新的な技術は、世界190以上の市場で数百万人のセラーとバイヤーを支援し、誰もが成長し成功するチャンスを提供しています。1995年に米国カリフォルニア州サンノゼで創業したeBayは、素晴らしい価値とユニークな品揃えを見つけるための世界最大級かつ最も活気のあるマーケットプレイスの一つであり、2024年には約750億ドルの総取引高を実現しました。

会社情報の詳細と運営サイトの情報はこちらからご覧いただけます。

https://www.ebayinc.com/

イーベイ・ジャパン株式会社

本社所在地:東京都渋谷区

事業内容:eBay Inc.の日本法人として、オンライン・マーケットプレイス「eBay」を通じた日本セラーの越境EC支援を行っています。詳細はこちらをご覧ください。