EC革命前夜アパレル大手リーダーが語る実践論イベントレポート
AI時代の到来とEC事業変革の最前線
株式会社ハックルベリーはShopify Japanの協力のもと、EC事業者向けイベント「Shopify Partner Roadshow Season 3:Next Gen Commerce〜EC革命前夜〜」を開催した。会場にはアパレル・小売大手をはじめ国内外のトップECブランド・支援企業が集結し、AI時代に対応した実践的なEC戦略や現場課題の解決策が議論された。

AIが推進する「エージェンティック・コマース」への期待
基調講演では、Shopify Japanが北米で先行するAI経由購買「エージェンティック・コマース」と共通プロトコルUCPの世界観を紹介。北米では購買セッションへのAI経由アクセスが約9倍に増加しており、日本市場でも購買行動の変革が期待されている。and STからは、AIを活用する上で「商品データの構造化」が不可欠であると指摘。今後は、Shopifyを軸に商品データ管理やAI時代のデータ整備が国内でも急務となることが議論された。
強い内製組織と次世代システム刷新の必要性
セッション1では、TOMORROWLANDやBraze、ハックルベリーの担当者が「ベスト・オブ・ブリード」なシステム刷新事例を紹介。ベンダーロックインの回避や、IT国家資格取得による担当者のスキルアップなどを通じ、柔軟な運用と自走可能な「強い内製組織」への変革が具体的に語られた。
レガシー基盤と顧客体験の両立を実現する現実的解決策
セッション2では、老舗ブランドやエンタープライズ企業が登壇し、「基幹システムの制約」と「顧客データ分断」「業務二重化」など現場の課題を公開。システム全面刷新には莫大なコストがかかるため、データ連携SaaS『CoreLink』を活用し、既存システムを残しつつデータのハブ化で顧客体験の向上と業務効率化を図る実践例が共有された。

サブスクリプション事業成長のカギは顧客解像度とAI活用
セッション3では、スピックの西守氏が売上の95%をリピート通販で支える実例をもとに、成長停滞期における「顧客解像度」の重要性を強調。Shopifyと定期購買アプリのデータをBigQuery経由で生成AIに分析させることで、ダッシュボード構築や施策抽出、PDCA運用の効率化が加速する「KPIダッシュボード革命」が紹介された。現場リーダーのプロンプト設計や環境整備も新たな役割として注目されている。

Shopifyエコシステム最大活用と業務効率化の最新事例
セッション4では、大手企業がShopifyのインフラやAPI拡張性を活かし、急拡大するバックオフィス課題(返品・キャンセル、不正対策等)に自動化アプリで対応する事例が紹介された。一方で、無秩序なアプリ導入による「闇カスタマイズ」へのリスク警告も。AI主導開発が進む中、人間が担保すべき物流や在庫予測など「説明可能な計算ロジック」の重要性も強調された。

AI×EC時代の課題と成長戦略
イベントを通じて浮き彫りとなったのは、AI活用やエージェンティック・コマースの波に対応するためには、データの構造化、シームレスな連携、自走組織の育成、現場の前提整備が不可欠という現実だ。ハックルベリーは累計3万2千店舗超の支援実績とSaaSプロダクト群を活用し、今後もEC事業者の成長を支援していく方針を示している。
