中国進出企業の半数超が初年度投資5,000万円未満、6割以上が投資額不足を実感
初年度投資5,000万円未満が過半数も、必要投資額は実態の1.5倍以上との回答が6割超
株式会社オールウィルが2026年9月に実施した「中国市場進出時の初期投資と事業成否に関する調査」により、中国進出企業の経営層・海外事業担当者の半数以上が初年度投資額を5,000万円未満に抑える一方、6割以上が実際に必要な投資額は当初の1.5倍以上だったと回答したことが明らかになった。調査はインターネットで実施し、331名から有効回答を得た。
中国市場への初年度投資額の分布。5,000万円未満が54.4%を占める
予算制約で9割が施策を断念、人件費やEC関連費用が上位
初年度投資額の内訳を見ると、「3,000万円以上5,000万円未満」が28.1%で最多、「1億円以上」が26.9%、「1,000万円以上3,000万円未満」が22.1%と続く。これらのうち5,000万円未満の層を合計すると54.4%に達する。一方、予算制約により何らかの施策を断念・縮小したと回答した割合は88.5%に上り、最も多い断念項目は「人件費・人材採用費用」(29.3%)、次いで「ECプラットフォーム関連費用」(29.0%)、「物流・倉庫費用」(28.4%)となった。
予算制約で断念または縮小した費目、人件費・EC関連・物流が上位
想定外コストが9割、認知獲得の停滞が事業に最も影響
事前の想定を上回ったコストが「あった」とする回答は90.6%に達し、上位3項目は「人件費・人材採用費用」(16.6%)、「ECプラットフォーム関連費用」(16.3%)、「物流・倉庫費用」(16.0%)で、いずれも拮抗している。予算不足やコスト増の影響として最も多いのは「マーケティング施策の中断・縮小による認知獲得の停滞」で23.3%。初年度投資額が大きいほどこの影響は低下し、1億円以上の区分では11.2%にとどまる。
中国事業を軌道に乗せるために必要な初年度投資の倍率、1.5倍以上必要が64.7%
投資額見直しの教訓:現地専門パートナーへの包括委託が最多
8割以上(85.5%)が初年度の実際の投資額では不十分だったと回答。うち「1.5倍程度」必要が36.9%と最多で、「2倍程度」(17.5%)、「2倍以上」(10.3%)を合わせると64.7%が1.5倍以上の追加投資が必要だったと認識している。振り返って最も見直すべき点としては、「現地事情に精通した専門パートナーに包括的に委託すること」(21.1%)がトップ、続いて「進出前の市場調査・計画策定に時間と費用をかけること」(16.0%)が挙げられた。
投資規模の妥当性が成否を分ける
本調査は、日本企業の中国進出において当初の投資規模が過小評価されがちであり、結果として認知獲得や成長投資の停滞を招く実態を浮き彫りにした。特に想定外コストの上位にECプラットフォーム関連や物流費用が並ぶ点は、越境EC参入企業にとって共通のリスク要因といえる。現地パートナーへの包括委託が最多の改善策として選ばれた背景には、部分最適ではなく全体最適の視点で投資計画を策定する必要性が示唆される。