酷暑長期化によるアイス需要拡大と仕入れ多様化
2025年の異常気象が生むアイス市場の過去最高記録
2025年の日本は、6月から8月の平均気温が平年より2.36度高く、統計開始以来最も暑い夏となった。10月に入っても真夏日が続く見込みで、酷暑が例年に比べて長期化している。
日本の夏の平均気温偏差を示す折れ線グラフ。2025年は統計史上最も高い。
この異常な暑さを背景に、消費者の「ひんやり消費」行動が活発化。特にアイスクリームの需要が急増し、関連市場に大きなインパクトを与えている。
国内アイス市場は5年連続で販売金額最高
日本アイスクリーム協会の発表によると、2024年度のアイスクリーム販売金額(メーカー出荷ベース)は前年比6.1%増の6,451億円と、5年連続で過去最高を更新。販売物量も前年より3.1%増の935,916kLで歴代2番目となり、消費量・支出ともに上昇傾向が続いている。
日本アイスクリーム市場の販売金額推移。2024年は過去最高を記録。
一世帯当たりの年間アイスクリーム支出金額も前年比6.2%増の12,295円と過去最高を記録。これは物価上昇だけでなく、実際にアイスを食べる量が増加していることを示唆している。
異業種にも広がるアイス仕入れと販売
事業者向け卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」では、2025年4月から7月の冷凍ジャンル流通額が前年同期比2.1倍、アイス単体では3.6倍と大幅増加。従来の食品小売業だけでなく、美容室、アパレル、雑貨店、ホテル、文具店、病院など異業種にもアイス仕入れが広がっている。
“ジューシーズ”など健康志向アイスが人気ニュージーランド生まれのフルーツアイス「ジューシーズ」は、砂糖・甘味料・着色料不使用で自然な甘みが特徴。ファミリー層やインバウンド観光客にも支持されており、スティックタイプで手軽に食べられる点が強みとなっている。
ニュージーランド生まれのフルーツアイス「ジューシーズ」。砂糖不使用で人気。
美容室やセレクトショップでの新たな提供事例
- 美容室では、施術中や施術後にアイスを提供し、子ども連れや観光客に好評。人気商品は品切れも発生。
- レディース・子供服のセレクトショップでは、来店サービスとしてアイスをプレゼント。スティック形状が子どもにも人気で、まとめ買いも目立つ。
酷暑による消費拡大と流通多様化の進展
2025年の記録的猛暑は、アイスクリーム需要を大きく押し上げるだけでなく、仕入れ・販売チャネルの多様化を生み出した。今後も異業種によるアイスの提供が拡大すれば、既存の小売モデルにも新たなビジネスチャンスが広がる可能性が高い。