小売公式アプリの広告体験、全国1,000人調査で判明したUXと受容の実態

小売公式アプリの広告体験、全国1,000人調査で判明したUXと受容の実態

リテールメディア市場拡大の中で浮上したUX懸念

株式会社DearOne(NTTドコモ子会社)は7月31日、小売公式アプリにおける広告体験に関する調査レポート「リテールメディア動向レポート〜ARUTANA Lab Vol.4〜」を公開した。国内リテールメディア広告市場は2025年に6,066億円規模に達し、小売店の公式アプリを販促接点として活用する動きが加速する一方で、アプリ内広告がユーザー体験(UX)を損なうのではないかという懸念も根強い。こうした背景から、同社は全国1,000名の定量調査と15名の定性インタビューを実施し、消費者の受け止め方を可視化した。

来店前の利用グラフ来店前にアプリを確認した人の約54%がクーポンを見て来店を決定

来店前後のアプリ利用が購買決定を後押し

調査によると、小売公式アプリの起動率は来店前で約88%、来店後で約93.5%と高く、レジ会計時以外にも幅広いタイミングで利用されている。特に来店前にアプリを閲覧したユーザーのうち53.7%が「クーポンを見て店に行くことを決めた」と回答。アプリが来店や購買の意思決定に直接的な影響を与えている実態が明らかになった。

広告受容度グラフアプリ内広告を受け入れられる割合は約94%、お得な内容なら歓迎が過半数

広告は「提案」として受容され、ネット広告の2倍の信頼

アプリ内の広告表示に対する受容度は、全体の94.6%が許容範囲と回答。内訳は「どのような内容でも歓迎」が16.2%、「お得な内容なら歓迎」が56.9%、「許容範囲/気にならない」が21.5%だった。小売発の情報はネット系広告の約2倍の信頼を得ており、「広告」としてではなく「自分向けのお得な提案」として好意的に受け止められる傾向があることもわかった。

不快要因ランキング不快感のトップは閉じるボタンの使いづらさ、関連性の低さが続く

不快感の原因は広告自体より見せ方と情報のミスマッチ

広告への不快感の理由としては、「閉じるボタンが小さく押しにくい」(30.4%)、「自分とは無関係な内容」(28.1%)が上位を占めた。広告そのものの存在よりも、UI設計の不備やユーザーとの関連性の低さがUX低下の主要因であることが確認された。つまり、広告の表示有無だけでなく、内容の最適化と表示方法の工夫がUX維持の鍵となる。

リテールメディアネットワーク「ARUTANA」の展開

DearOneは、リテール企業の公式アプリをアドネットワーク化する「ARUTANA」を提供している。広告主は一括配信で複数アプリにリーチ可能で、リテール事業者は開発コストなしで新たな広告収益を得られる。現在、ツルハ、大創産業、エディオンなどが参画し、配信先アプリの月間アクティブユーザー数は5,000万人以上に上る。

UXと広告収益の両立は見せ方次第

本調査は、アプリ内広告が必ずしもUXを阻害するわけではなく、むしろ関連性の高い情報を適切なUIで提供すれば、ユーザーは「広告」より「提案」として歓迎する傾向があることを示した。小売公式アプリが購買行動と密接に結びついている点を踏まえると、パーソナライズされた広告体験の設計が、リテールメディアの成長と顧客満足度の両立に不可欠といえる。