エージェンティックコマースへの意識に乖離、普及の鍵は信頼性

エージェンティックコマースへの意識に乖離、普及の鍵は信頼性

Adyenが実施した「Adyen Index Japan Retail 2026」調査により、日本の小売事業者と消費者の間で、AIによる買い物代行「エージェンティックコマース」に対する意識に大きな乖離があることが明らかになった。小売事業者の97%が今後2年間で投資を予定する一方、消費者の62%はAIアシスタントに購入を委ねることに抵抗を示している。

消費者の過半数がAIによる購入代行に抵抗感

調査によると、過去12カ月間で買い物の際にAIアシスタントを利用したことがある消費者は3人に1人以上に上った。オンライン上の情報過多を背景に、AIは最適な選択を支援するツールとして浸透しつつある。しかし、最終的な決済までをAIに一任することについては慎重な姿勢が目立つ。

AI利用頻度ドーナツ過去12カ月の買い物でのAIアシスタント利用頻度を示すドーナツグラフ

日本のAIアシスタント利用率は37%と、調査対象のアジア太平洋(APAC)地域の国々と比較しても低い水準にある。さらに、「最終的な支払い手続きは自分で行いたい」と回答した消費者は21%で、APAC平均の16%を上回り、AIによる買い物代行に対する心理的なハードルの高さが浮き彫りとなった。

小売事業者はエージェンティックコマース対応を加速

消費者の慎重姿勢とは対照的に、小売事業者はエージェンティックコマースの到来を見据え、準備を急速に進めている。事業者の87%がこの概念を認識しており、97%が今後2年間で何らかの投資を計画している。

理解度ドーナツ小売事業者のエージェンティックコマース認知度を示す割合グラフ

事業者が投資を急ぐ背景には、AIの取引速度や処理量の増大に伴う決済リスク管理の課題がある。AI時代に見合った決済バックエンドシステムの刷新が重要性を増している。日本の小売事業者の認知度および投資意欲は、APACの他国と比較しても遜色ない水準にある。

普及のカギはセキュリティー対策

エージェンティックコマース普及の鍵を握るのは、消費者の不安を解消するセキュリティー対策である。調査では、消費者の4人に1人以上が「AIはセキュリティー面で不安だが避けられない」と回答した。この結果はAPAC他国では見られない日本特有の傾向であり、日本の消費者がAIの利便性よりもセキュリティーリスクに敏感であることを示している。

雑音整理の評価AIがオンライン情報の雑音整理に役立つかを尋ねた回答分布 投資理由ドーナツ今後2年間のエージェンティックコマース投資の主な理由別割合

事業者と消費者の信頼構築が急務

本調査は、エージェンティックコマース普及のためには、小売事業者が消費者のセキュリティー不安に真摯に向き合い、明確な対策を提示する必要があることを示している。技術導入のスピードだけでなく、顧客体験としての安心感をいかに提供するかが、今後の競争力を左右する重要な要素になるだろう。