越境EC事業の成長企業と多国展開企業の運用戦略調査
越境EC運用実態調査 概要と背景
ディーエムソリューションズが運営する物流サービス「ウルロジ」は、全国の20~50代の越境EC事業担当者・責任者700名を対象に、越境EC事業の運用手法に関する実態調査を実施した。国内市場の成熟や人口減少が進む中、海外展開の現状と成長戦略を可視化することで、EC事業者の今後の意思決定に資するデータを提供している。
調査概要と回答者属性
9割以上が売上成長を実感 150%超成長企業も
調査によると、91.1%の事業者が昨対比で売上成長を実感していると回答。特に12.7%は150%以上の高成長を達成しており、市場全体として活況を呈していることが明確になった。成長率の高さは一部の企業だけでなく、越境EC市場全体で底堅い成長が続いていることを示唆する。
越境EC事業の昨対比売上成長率
最初の進出先は米中が上位 地政学リスクも意識
最初の越境EC進出先としては、アメリカ(28.1%)と中国(27.1%)が最も多く選ばれている。次いで台湾(18.6%)、韓国(12.0%)と続き、市場規模や経済的な結びつき、地理的・文化的要素が進出先選定に大きく影響している。ただし、米中ともに関税や規制強化など政治経済情勢の変化によるリスクがあり、進出戦略には柔軟な対応が求められる。
越境ECで最初に進出した国ランキング
95%が外注活用 多国展開で外注先は増加傾向
越境EC運用において95%の事業者が外部パートナーを利用しており、外注活用が事実上必須となっている。1カ国進出では1~2社への外注が一般的だが、5カ国以上展開する企業では5社以上の外注先を持つケースが増える。事業規模や展開国数に応じて外注戦略が変化しており、初期はパートナーを絞る「スリム化」、多国展開では専門性の高い「多角化」戦略が有効とされる。
進出国数別・外注会社数の割合
複数の外注先を持つ企業の85%が、管理の煩雑化を課題と感じている。言語や法律、物流など多岐にわたる業務の進捗管理やコミュニケーションコストが増大しており、今後は外注管理体制の最適化も成長の鍵となる。
外注先複数化による管理煩雑化
成長企業はクラウドファンディングと広告施策を重視
150%以上成長した企業ではクラウドファンディング(46.1%)が最も効果的な施策とされ、資金調達だけでなくブランド認知やファンコミュニティ形成にも寄与している。5カ国以上進出の企業ではリスティング広告(39.8%)が有効とされ、広範囲なターゲットへの効率的なアプローチが評価されている。
成長企業が効果を認めたマーケティング施策
進出国により有効なマーケティング手法は異なり、たとえばアメリカではクラウドファンディング、中国ではSNS広告が支持される傾向が強い。市場特性に応じた柔軟なマーケティング戦略が必要とされている。
越境EC事業拡大における外注戦略と成長の鍵
越境EC市場は9割以上の事業者が成長を実感し、多国展開や高成長企業は外注先の多角化とクラウドファンディング・広告施策活用が特徴。今後は外注管理体制の最適化と、進出国特性に応じた柔軟なマーケティング戦略が競争優位性の分岐点となる。