農林水産物直販ニーズ拡大とECサイト構築依頼急増
農林水産業でECサイト構築依頼が前年比6.4倍に
見積もり比較・受発注サービス「ミツモア」が発表した最新調査によると、2024年5月から2025年4月の1年間で、農林水産業のECサイト構築サービスへの依頼数が前年比6.4倍(+637.5%)に急増しました。全業種平均の増加率(+447.4%)を大きく上回り、業種別で最も高い伸び率を示しています。
農林水産業と全業種のECサイト構築サービス依頼増加率を比較した棒グラフ。農林水産業は前年比6倍超の伸びを示しています。
ランキングで17位上昇 業界存在感が拡大
農林水産業のECサイト構築依頼数は、全カテゴリ中で23位から6位へと17ランクも上昇し、市場内での存在感を大きく高めています。背景には米価高騰など市況変動による利益構造の課題があり、生産者が自社ECサイトや産直型モールなどの新たな販路拡大策に本格的に取り組む動きが顕著です。
農林水産業のECサイト構築サービス依頼数ランキングの推移を表で示し、前年から17ランクアップしたことが分かります。
中間流通を省略する直販モデルへの転換
従来の農林水産物流通は卸業者を介する形態が主流でしたが、近年は生産者自身が中間業者を介さず消費者と直接取引する直販モデルへの移行が加速しています。W2株式会社の樽澤寛人氏は「若い経営者の増加やITリテラシー向上が、ECサイト活用のハードルを下げている」と指摘しています。
農林水産業のECサイトに求められる機能
調査では、農林水産業の事業者がECサイトに最も求める機能は「定期購入」で、30.4%と全業種平均17.5%を大きく上回りました。鮮度や季節性が重要な商材で安定収益を確保するため、定期配送型サブスクリプションモデルへの注力が進んでいます。一方、海外向けEC機能の需要は5.1%と低く、国内市場での販売強化が中心です。
農林水産業と全業種でECサイト構築時に求められる機能の違いを示す棒グラフ。定期購入機能の需要が高いことが特徴です。
また、農林水産事業者からは「頒布会(選べる定期便)」や「三温度帯管理(冷蔵・冷凍・常温)」「ギフト対応」など、商材特性を踏まえた細やかな機能ニーズも挙がっています。
今後の展望と市場への影響
行政によるIT導入補助金や事業再構築補助金などの制度支援もあり、農林水産業のデジタル販路化は今後も進展が見込まれます。また、ソーシャルギフトやクイックコマース(ネットスーパー)など新たな販路への関心も高まっており、販売チャネルの多様化と事業者の収益性向上が期待されます。
農林水産業の直販型DXが市場構造を変革
農林水産業界のECサイト構築需要増加は、単なる販路拡大にとどまらず、流通構造の変革や生産者の収益力強化につながる動きです。今後サブスクリプション型モデルや多様な販売チャネルへの進化が進み、業界全体のデジタルシフトが加速することが予想されます。