返品申請の約6割は営業時間外、「交換」で約4件に1件が売上として維持

返品申請の約6割は営業時間外、「交換」で約4件に1件が売上として維持

Recustomerが500ブランド超のECストアにおける約1,790万件の注文データを分析した「Returns, Exchanges & Delivery Report 2026 上半期」を公開した。返品申請の61.1%が平日9~18時の営業時間外に発生し、返品の25.5%が交換に転換されることで売上を維持している実態が明らかになった。

返品申請の6割超が営業時間外、24時間対応の必要性

分析によると、返品申請の61.1%は平日の営業時間外(9~18時以外)に発生しており、時間帯別では平日11~12時と19~21時にピークを持つ二山型の分布を示した。この結果は、顧客が返品手続きを行いたいタイミングとカスタマーサポートの対応可能時間にギャップがあることを示しており、営業時間外でも自動で受け付け・案内できる仕組みの整備が、顧客満足度向上と事業者側の負荷軽減に寄与すると考えられる。

申請時間帯グラフ
返品申請時間帯の分布グラフ

承認は迅速だが返金完了まで中央値7.4日、配送待ちが支配的

Recustomerを利用した返品対応では、申請の78.7%が1時間以内に承認され、90.8%が24時間以内に承認されている。承認プロセスはほぼリアルタイムだが、返金完了までの中央値は7.4日で、そのうち返品商品の配送待ちが中央値5.5日を占める。返品対応のスピードを律しているのは承認ではなく、返品フロー全体、特に物流工程であることが分かる。

承認と返金図
承認時間と返金完了までの日数内訳

交換転換率25.5%、返金後再購入は6.6%にとどまる

アパレルカテゴリでは、返品の25.5%(中央値)が交換に転換されており、約4件に1件が売上として維持されている。一方、返金処理後に5日以内に同じストアで再購入する割合は6.6%にとどまる。交換は返品を売上機会に変える有効な手段であることが裏付けられた。

交換と返金比較
交換転換率と返金後再購入率の比較

返品ポリシーの寛容度と購入頻度・LTVに相関

返品・交換を経験した顧客のLTVは未経験者の約1.95倍になる傾向が確認された。また、返品ポリシーの種類別に年間購入回数を比較すると、「返金・交換ともに可」のストアで1.87回、「交換のみ」で1.57回、「返金のみ」で1.49回、「不良品のみ受付」で1.38回と、寛容なポリシーほど購入頻度が高い相関が見られた。

返品理由の約6割はサイズやイメージのミスマッチ

返品理由の内訳では、「サイズが合わない」が45.3%、「イメージ・色・素材感が違う」が18.9%で、合わせて64.2%を占める。品質・不良・破損は13.6%にとどまり、返品の多くは商品の不具合ではなく、購入前に得られる情報と実物とのギャップに起因する。カテゴリ別では、アパレルでミスマッチ起因が69.8%、シューズではサイズ起因が70.9%に達する。

返品理由の棒グラフ
返品理由の割合(棒グラフ)

配送追跡メールが新たな購入接点に

配送追跡メールの開封後5日以内の購入率は9.2%で、前年比2.3ポイント上昇した。お届け予定日の通知や進捗の可視化が、購入後の重要な顧客接点として機能し、次の購買行動につながっている可能性がある。

2026年下半期に向けた示唆

  • 繁忙期オペレーションと交換在庫の設計:営業時間外の申請自動化と交換転換用の在庫計画が重要
  • 返品ポリシーの設計:「返金のみ」から「交換も選べる」設計への転換が売上維持の起点に
  • 配送体験の可視化:追跡メール開封後購入率の上昇を受け、配送体験を購入後接点として設計する余地がある