ECサイトのカゴ落ちによる機会損失、売上の約2.85倍に拡大
カゴ落ちによる機会損失、売上の約2.85倍に達する
e-365株式会社が2026年7月31日に発表した調査結果によると、ECサイトにおけるカート放棄(カゴ落ち)による機会損失額が、実際の売上の約2.85倍に拡大していることが明らかになった。平均カゴ落ち率は63.48%で、10人中6人以上が購入を完了せずに離脱している計算となる。
「厳選消費」の定着がカゴ落ちを悪化
調査は2026年1月から6月の半年間、同社が提供するカゴ落ち対策ツール「CART RECOVERY」の契約アカウントデータを基に実施。物価高騰を背景に、消費者が送料を含む総額を確認し、複数サイトを比較する「厳選消費」が定着し、カゴ落ちが増加していると分析する。特に1月は機会損失が売上の3.09倍に達し、年間で最も損失が膨らむ時期となっている。
カテゴリー別利用割合を示す円グラフ。アパレルが約46.4%で最大
業種別で異なるカゴ落ち傾向
業種別のデータでは、アクセサリー・時計がカゴ落ち率68.30%、機会損失額は売上の4.42倍と最も大きく、家具・インテリア(3.60倍)、スポーツ用品(2.91倍)が続く。高単価で嗜好性の強い商材は比較検討による離脱が多いが、購入意欲が高いため適切なフォローアップが効果的だ。一方、食品(1.26倍)や化粧品(1.70倍)は機会損失が比較的小さく、リピート購入や送料調整による離脱が多いと推測される。
カゴ落ちメールの高い開封率と売上創出効果
同社のカゴ落ちメールの平均開封率は42.0%で、一般的なメルマガ(10〜15%)の約3倍に相当する。食品のコンバージョン率(CVR)は3.60%、趣味・娯楽は2.80%と、リマインドメールが購入のトリガーとして機能。2026年上半期には、カゴ落ちメールを通じて約31億4,900万円の売上創出に貢献した。
最大の機会損失期に向け、早期対策が鍵
1年で最もカゴ落ち損失が大きい1月・2月(売上の3倍超)に向け、同社は7月からの早期対策を推奨。また、生成AIの普及により、消費者がカートを「AIへの相談メモ」として使い、サイト外へ離脱するケースが増加すると予測。秋冬商戦前にシナリオ設計やテスト運用を含む準備を進めることが重要だとしている。
カゴ落ち対策の投資効果が顕著に
カゴ落ちによる機会損失が売上の約2.85倍に達する実態は、EC事業者にとって無視できない課題だ。特に高単価商材では損失が数倍に膨らむ一方、カゴ落ちメールの開封率やコンバージョン率は高く、対策ツールへの投資対効果は大きい。物価高や生成AIの影響で消費行動が変化する中、早期の対策が競争力の源泉となろう。